エナジードリンクの怖さ

おはようございます、アスレティックトレーナーの青柳陽祐です。

今回の記事では、生活の中ですっかりお馴染み?になったエナジードリングが身体に及ぼす影響と摂取の実態を絡めながら、”エナジードリンクの怖さ”を僕なりに考えてみました。

今回の参考資料

Quinlivan, A., et al. “The Effects of Red Bull® Energy Drink Compared With Caffeine on Cycling Time Trial Performance.” International journal of sports physiology and performance (2015).

http://journals.humankinetics.com/ijspp-in-press/ijspp-in-press/the-effects-of-red-bullreg-energy-drink-compared-with-caffeine-on-cycling-time-trial-performance

Gunja, Naren, and Jared A. Brown. “Energy drinks: health risks and toxicity.” Medical Journal of Australia 196.1 (2012): 46-49.

http://rischiochimico.it/drupal/sites/default/files/energy_drinks_health_risks_and_tossicity_0.pdf 

Costa, Beth M., Alexa Hayley, and Peter Miller. “Young adolescents’ perceptions, patterns, and contexts of energy drink use. A focus group study.” Appetite 80 (2014): 183-189.

http://www.researchgate.net/profile/Beth_Costa/publication/262579693_Young_adolescents’_perceptions_patterns_and_contexts_of_energy_drink_use_A_focus_group_study/links/0c96053ab598b3253c000000.pdf

エナジードリンクの有効成分って?

一本いっとく?

一本いっとく?

エナジードリンクには、”身体が元気になりそうなモノ”がたくさん入っているから、仕事やスポーツの前や疲れた時に一本飲んでおく、ということも多いのではないでしょうか?
でも『実際にそれらのモノが効いているのか?』と言われると、正確に答えることはできないでのはないでしょうか…

2015年に発表された文献では、”レッドブル”、”レッドブルと同量のカフェイン入り錠剤”、”プラセボの飲料”をそれぞれ、男性のサイクリング競技者に摂取してもらいました。
被験者が上記の3種類を摂取した後、サイクリングのタイム、HR(心拍数)とRPE(疲労感)の測定を行いました。

その結果…

レッドブルとカフェイン入り錠剤では、プラセボに比べてタイムの改善が確認されたが、両者の効果には差がなく、HRとRPEにも差がない
つまりカフェイン以外の成分は、パフォーマンスの向上に大きく関与しない

という結論に至りました。

この文献の結果だけで、カフェイン以外の成分に意味はないとするのは乱暴すぎると思いますが、なぜ僕らはエナジードリンクと同じような成分を含むサプリメントや食品を選択しないのでしょうか?その理由はエナジードリンクの”飲みやすさ”、”手軽さ”の2点で、これらが『エナジードリンクの怖さ』であると考えています…

エナジードリンクの怖さ

このサイズだと、正しくモンスターです…

このサイズだと正しくモンスターです…

エナジードリンクにはカフェインの他に、ガラナ、タウリンや朝鮮ニンジンなど、身体の滋養強壮(身体に栄養を行き渡らせ、強く・元気にする)に効くとされる成分が含まれています。
さらに、様々なアミノ酸・ビタミンや炭水化物なども添加されているため、エナジードリンクをまるで(ダイエタリー)サプリメントのように考えて摂取している方も多いのではないでしょうか…

オーストラリアの公的機関である”Poison Information Centre”へ、2004〜2010年に寄せられたエナジードリンクの摂取に関する相談内容をまとめた研究では、下記のような結果が出ました…

7年間で297件の相談があり、摂取者の平均年齢は17歳、57%が男性であった。

約1/3の者は、エナジードリンクと一緒にアルコール、カフェインタブレット・飲料や薬物を摂取しており、多くの場合で1回あたり3〜8本のドリンクを飲んでいた(最高は80本)。

87%の摂取者は動悸、震えや胃腸の不快感などを、21名は幻覚、不整脈、心臓発作の症状を呈した。

全体の43%(乳幼児の誤飲も含む)は、医療機関への入院を求められた。

エナジードリンクの飲み過ぎは良くありませんが、同じようについつい飲みすぎてしまうものにビールがあります…
よく考えてみると、エナジードリンクにはビールとの共通点が意外にも多いように思われます。

1.糖質を多く含んでいる
2.炭酸ガスが含まれている
3.冷たい状態で飲まれることがほとんど
4.値段が比較的安価で入手しやすい

1~3は、両者の”飲みやすさ”につながっていると思われます。

『ビールはたくさん飲めるけど、同じ量の水は飲めない』
『気の抜けたビールはまずい』
『キンキンに冷えたビールはうまい』

といったことは皆さんもよく考えることではないでしょうか…

飲料の口に含んだ時の味、感触、温度が飲みやすさに大きく影響することは、どこかで皆さんも体感していると思います。
糖質(甘い)+炭酸(シュワシュワ感)+冷たい(清涼感)のコンビネーションは、”飲みすぎは良くないと分かっていても、ついつい飲みすぎてしまうモノ”に多い気がします…

ビールもエナジードリンクも飲み始めはHigh(高揚)、更に飲むとJitter(落ち着かない)、 飲み過ぎるとCrush(脱力感)といった心身の変化もそっくりです。

4は、”手軽さ”につながります。

日本ではエナジードリンクもビールとコンビニで入手可能だったり、ビールに至っては”飲み放題”という、お酒好きには素晴らしい(笑)仕組みもあります。
欧米ではエナジードリンク1缶が100円前後から買えたり、”Buy 2 Get 1 Free”のようにまとめ買いで安くなることもよくあります。

容量は日本で見かけるものでは最高でも355mlだと思いますが、欧米では591ml、700mlというのもあります。
参考のため上にイメージを貼ってあるので、これで大きさが想像できると思います。

決してエナジードリンクを悪者扱いする意図はありません。
しかし、このような悪い側面も知っておいた上で、摂取するものを自分自身の責任に置いて選択することが、大切なことではないでしょうか…

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