栄養と運動の関係

こんにちは、アスレティックトレーナーの青柳陽祐です。

今回は、運動と栄養・筋肉の成長の関係性について書かれた文献をご紹介します。
僕がこのテーマを取り上げた理由は、先日参加させていただいたArancia Academy「食べる」セミナーで、ある文献からの記述が話題になり…

たんぱく合成の亢進は「筋トレ」だけでなく
食事前の有酸素運動で「食事」からの刺激が大きくなる。
Arancia Academy 「食べる」セミナー資料より抜粋

といった内容で話で盛り上がり、自分でも理解を深めておきたいと思ったからです。

世間一般ではシェイプアップ、ダイエットなど体重を落としてどうにかするというのが流行っているようです…
しかしアスリート(特に成長期の学生さん)は逆に、「体重を増やしたいんだけど、どうすればいいの?」という質問も多いのです。

今日は学んだ情報をもとに、”基本の復習”と”食と運動を通しての増量のヒント”について僕なりにまとめてみました…

参考資料:

1.Miki Tsuchiya.  Arancia Academy 「食べる」セミナー

2.Edward Alcamo and Barbara Krumhardt. E-Z Anatomy and Physiology

3.Timmerman, Kyle L., et al. “A moderate acute increase in physical activity enhances nutritive flow and the muscle protein anabolic response to mixed nutrient intake in older adults.” The American journal of clinical nutrition 95.6 (2012): 1403-1412.  http://ajcn.nutrition.org/content/95/6/1403.full.html

4.Atherton, P. J., and Ken Smith. “Muscle protein synthesis in response to nutrition and exercise.” The Journal of physiology 590.5 (2012): 1049 −1057. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1113/jphysiol.2011.225003/full

同化作用、異化作用?

同化作用と異化作用 http://www.allmaxnutrition.com/wp-content/uploads/anabolic-vs-catabolic.jpg より

同化作用と異化作用 http://www.allmaxnutrition.com/wp-content/uploads/anabolic-vs-catabolic.jpg より

筋肉だけではなく、人間の身体が成長・維持されるために必要な作用はたくさんありますが、今回はまず基本の復習のため、同化・異化作用についてシンプルに説明します。

同化作用(Anabolism):小さいもの(単純)から大きいもの(複雑)が合成され、エネルギーは蓄えられる

例:
原子(炭素C、水素H、酸素O など)

アミノ酸(たんぱく質の材料)

たんぱく質(筋肉の材料)

異化作用(Catabolism):大きいもの(複雑)が小さいもの(単純)へ分解され、エネルギーは放出される

例:
でんぷん(多糖類:米・小麦)

マルトース(二糖類:水飴)

グルコース(単糖類:ぶどう糖)

「筋肉を大きくして体重を増やす」というのは同化作用によるもので、「胃や腸での消化と吸収」は主に異化作用によるものであり、これらは表裏一体となっています。
つまり、異化作用によって放出されたエネルギーが、結果的に筋肉を作る同化作用や筋収縮が起こるエネルギー源になるということです…

運動と筋肉の成長

ご飯のマンガ盛りはいかがでしょうか?

マンガ盛りはいかがでしょうか?

筋肉の成長は主に同化作用によって起こりますが、成長が起こるため(筋肉を大きくして体重を増やす)には、そのエネルギー源がなくてはなりません。
そのために、「マンガ盛りでご飯を食べろ」とか、「とにかく腹いっぱい喰え」というアドバイスを受けたことはないでしょうか?

前述のArancia Academyで話題にあがった文献では、平均70歳の被験者が栄養摂取の前に有酸素運動(最大心拍数の60〜70%)を行いました。
その後、食事と夜の睡眠をとり、運動後15〜18時間が経過した時点で、必須アミノ酸・糖質を含んだ飲料を飲み、体内への吸収率と筋繊維でのたんぱく質合成の割合を調べました。
結果、有酸素運動を行った被験者の割合が、何もしなかった方より良かったのです。

別の研究では、低負荷高回数(1RMの20~40%)のレジスタンストレーニングより、高負荷低回数(70~90%)の方が、筋繊維でのタンパク質合成を促しやすいとされていました。
さらにその効果は、運動後24時間以上経過しても維持されるとのことでした。

運動が栄養の吸収に与える好影響は、運動後から90分など短時間であるイメージが強かったのですが、これらの結果のように半日以上影響が続いたり、間に睡眠をはさんでも継続することには驚きました…

もちろん適切な量・質の食事を摂ることも必要で、栄養を摂取すること自体が、筋繊維でのタンパク質合成だけではなく、あらゆる細胞の分裂や修復を促す要因になります。
栄養と運動を上手く組み合わせることで、アスリートだけではなくダイエットをする方、美容目的の方、子供からお年寄りまで自分の望むカラダを作り上げる事ができるのではないでしょうか…

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