体幹部の機能評価#1

こんにちは、アスレティックトレーナーの青柳陽祐です。

今回の記事は以前にお話した、Functional Anatomy of the Core(体幹部の機能解剖学)の続編にあたる、Assessing Core Function(体幹部の機能評価) について取り上げます。
このテーマは、とても1回の記事では収まらないので、3~4回に分けてお話をさせていただきます。

まず第1回目は、頭・頸部、舌のポジションと深頸部屈筋についてお話しします。

今回の参考資料:

Assessing Core Function
http://elearning.chekinstitute.com/product-category/scientific-core-sub/

Passive TMJ Exercises Forward Head Posture & Airway Dysfunction
http://www.drcharlesblum.com/Patient%20Information/Passive%20TMJ%20Exercises.pdf

Stokes, Ian AF, Mack G. Gardner-Morse, and Sharon M. Henry. “Abdominal muscle activation increases lumbar spinal stability: analysis of contributions of different muscle groups.” Clinical Biomechanics 26.8 (2011): 797-803.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3157598/pdf/nihms-290883.pdf

Advanced Anatomy: Myofascial Meridians
http://healingartsce.com/advancedanatomymyofascial.html

Notes on Anatomy and Physiology: Slings at the Front, Slings at the Back
https://ittcs.wordpress.com/2010/12/10/notes-on-anatomy-and-physiology-slings-at-the-front-slings-at-the-back/

Postural Synergy of Sternocleidomastoid Muscle for Control of Head Position during Ballistic Voluntary Jaw Movements Part 1. Comparison of EMG-onset between Masticatory Muscles and Sternocleidomastoid Muscle
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjps1957/37/6/37_6_1232/_pdf

深頸部屈筋と頭・頸部の関係性

心当たりはありませんか…

心当たりはありませんか…

深頸部屈筋は舌骨上筋と下筋からなる、舌骨筋群のことを指しますが、これがうまく働かないとはどのようなことになるのでしょうか…

まずここで押さえておきたいのは…

1.舌骨筋群の機能(下顎を下方に引く、嚥下:何かを飲み込む動作、舌骨を適切なポジションにおく)

2.胸鎖乳突筋(SCM)が舌骨筋群と共同筋・拮抗筋の関係性にある

これら2点です。

デスクワーク・スマホなど、普段の生活ではついつい、頭が前のめりになること多くなってしまいます。

ここから負の連鎖は始まります…

−−−−−

頭が前のめりになる、頸椎が屈曲しやすくなる、下顎が下方を向く

↓「このままでは前が見えない…」

頚椎を伸展させる、下顎を上方へ向かせる

↓「頭は以外に重い(体重の約8%の重さ)」

頭の重さで余計に前のめりになり、頚椎には前方への剪断ストレスがかかる

−−−−−

上記の連鎖に陥ると、SCMは適切な筋の長さから引き伸ばされ適切に機能しづらく、さらに重い頭を支えるために常に緊張を強いられます。
詳しい理由は明確ではありませんが、舌骨筋群の機能が低下してしまう(SCMが舌骨筋群働きを代償してしまう)ことも同時に起こるようです。

深頸部屈筋と舌のポジション

舌の位置はどちらがよいでしょうか…

舌の位置はどちらがよいでしょうか…

SCMを働かせ過ぎないようにする対策として、深頸部屈筋(舌骨筋群)を活性化させるというものがあります。
色々と方法はありますが、最も手軽なものでは、”安静時の正しい舌の位置を覚えてもらう”というのがあります。

上のイメージでは、左の方が舌骨筋群を活性化させるのに良い舌の位置とされています。
安静時に舌先が上前歯の裏に軽く触れ、舌の前方1/3が口蓋に触れる状態です。
これは、安静時の舌の理想的な位置(Physiological Rest Position of Tongue)と呼ばれています。
このポジションは、”飲み込んだ直後の舌の位置”、”「ラ」と発音するときの舌の位置”を作ってもらうことで、意外と簡単に意識できます。

反対イメージ右の状態だと、舌先は下前歯の裏に触れ、赤丸の部分が左に比べて狭くなっています。
口呼吸、いびき、慢性的な頭・首・肩痛なども舌の位置が原因になることもあります…

体幹部屈曲の連鎖と深頸部屈筋

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Flexor Chain http://healingartsce.com/advancedanatomymyofascial.html より

体幹部を屈曲するときには、上のイメージのような股関節~腹部~頸部とつながる、”体幹部屈曲の連鎖”(Flexor Chain)がとても重要になります。
しかし、同じ姿勢でいることの多い現代のライフスタイルでは、どうしてもFlexor Chainは硬くなってしまう傾向にあります。

一般の方で、Flexor Chainの筋肉が硬くなって、脚、腰、肩や首の不調つながると体感している方は、まだまだ少ないと思います。
僕自身も例に漏れず、疲れを感じると、特に股関節周囲・体幹前面の硬さが気になります…
連鎖のどこかに不調が現れると、他にも影響しやすいという考え方です。

これは僕の体感からの考えですが、股関節や腹筋の硬さや力みを感じると、無意識に口呼吸が増える傾向にあります。
それは同時に舌骨筋群が上手く働かなくなり、胸鎖乳突筋が働き過ぎることを意味します。
この対策として僕は、先ほど書いた舌の位置と同時に、鼻呼吸(ヨガのウジャイ呼吸)を意識的に取り入れています。

僕の鼻呼吸のイメージでは、まず息をすう時に、鼻の穴から直接気管に空気を入れる感じではありません。

鼻から息をすう時に、声帯や喉仏の管を少し狭くしておきながら、空気を喉の奥へ通してから肺へ空気を満たす。
はくときは空気が来た道を戻ってくる、といったような感じです…
これを意識すると、舌の位置は自然と適切な位置に置かれやすい気がしています…

口呼吸、いびき、慢性的な頭・首・肩痛などの対策として、取り入れてみてはいかがでしょうか…

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