成長期の骨端症について

こんばんは、アスレティックトレーナーの青柳陽祐です。

今回は思春期のスポーツ障害が及ぼす長期的な影響とその予防策について考察された文献の中から、特に成長期に起こるスポーツ障害で特徴的な”骨端部”の障害についてまとめてみました。

今回の参考文献:

Maffulli, N., Longo, U. G., Spiezia, F., & Denaro, V. (2010). Sports injuries in young athletes: long-term outcome and prevention strategies. Phys Sportsmed, 38(2), 29-34.

骨端部ってどこ?

結局、骨端ってどこなの? http://www.physio-pedia.com/some-image-path/c/cd/Voet_apophyse.png より

結局、骨端ってどこなの? http://www.physio-pedia.com/some-image-path/c/cd/Voet_apophyse.png より

骨端軟骨線は一般に成長線と呼ばれ、長骨の一部となります。
ここで紛らわしいのは、”Epiphysis”、”Apophysis”という言葉です。
どちらも骨端という意味が含まれますが、ここで2つの違いを明確にしておきたいと思います…

Epiphysis:上生骨・骨頭

長骨の骨頭部を指す
”Epiphyseal Growth Plate”で骨端成長板・成長線という意味
主に圧縮力に対して抵抗する

Apophysis:骨突起

ある骨の突起部分で筋腱が付着する場所
主に張力に対して抵抗する

今回の記事では、”Epiphysis”について取り上げています…

成長線の骨折について

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成長線の骨折は、骨端線損傷・離開と呼ばれています。
今回は、5種類の損傷についてまとめてみました。

上のイメージをご覧ください…

タイプ1:成長線が完全に骨幹から離開するが他の骨折は認められない

タイプ2:成長線上および骨幹の一部が骨折する(最も頻度が高い)

タイプ3:関節面から成長線上の一部が骨折する

タイプ4:成長線、骨頭および骨幹部が完全に離開する(上腕骨の遠位部でよく起こる)

タイプ5:成長線の一部が圧縮力によって潰される(起こる割合は少ないが、潰された部分の成長がストップする)

タイプ1、2に関しては、外科手術以外の方法で治療をしても十分に受傷前の状態に戻り、その後の成長には問題がないケースが多いようです。
タイプ3は患部に十分な血流がないと判断された場合は、手術での骨折部の修復を行う方法が採用されやすい傾向にあります。
タイプ4、5に関してはほぼ手術が必要になります。
なぜなら離開したり圧迫してしまった部分は、成長が止まったままになる一方で、残りの部分は通常通りに成長が進んでしまうからです。
この状態を放置しておくと、左右の骨の長さに違いが出たり、骨自体が歪むといったことが起こってしまいます…

スポーツ医科学の分野はまだまだ知られていないことが多かったり、数年前までこれが正しいと言われていたことが全く違うといったことも十分に起こり得ます。
特に解剖・生理学の部分は、全てに応用できる原理原則が詰まった分野になりますので、一度やった内容でも折にふれて復習してみたり、専門家のセミナーや最新の文献を常に拾える状態にしておくことがとても大切です。

学校で習うことはほんの一部。
実際に経験を積むほどに、原理原則を学びそれをアップデートしていくことの大切さをしみじみと感じるものです…

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