おはようございます、アスレティックトレーナーの青柳陽祐です。
先日、11月7日(金)は第3回スポーツトレーナー英語勉強会、『Functional Anatomy of the Core 3』を開催させていただきました。
前回のまとめの記事では、腰方形筋の機能についてお話をしました。
今回の記事では勉強会の一部、体幹部を考える上で非常に重要な”横隔膜(Diaphragm)”をテーマにお話をします。
今回の参考資料:
Functional Anatomy of the Core
http://chek.knowledgepress.org/
The role of the diaphragm during abdominal hollowing exercises
http://ac.els-cdn.com/S000495141460369X/1-s2.0-S000495141460369X-main.pdf?_tid=27c80fbc-5054-11e4-b374-00000aab0f26&acdnat=1412928490_2750075bba9c67346334d63ef3be80a7
Postural Function of the Diaphragm in Persons With and Without Chronic Low Back Pain
http://www.rehabps.com/DATA/JOSPT.pdf
横隔膜と呼吸
横隔膜はドーム型になっています。
まずは上の二つのイメージを確認しながら、起始と停止の確認から始めます…
起始:第7~12肋骨と肋軟骨の内面、剣状突起、L1~4の椎体・前縦靭帯
停止:腱中心(横隔膜の頂上部)
では、呼吸のときに横隔膜はどんな働きをするのでしょうか?
起始と停止に基づいて考えてみました…
吸気(すう):横隔膜は収縮する→腱中心が胸郭下部へ引っ張られるので、胸郭のスペースは拡がる。
呼気(はく):横隔膜はリラックスする→腱中心が元の位置へ戻るので、胸郭のスペースが狭くなる(元通りになる)
ちなみに呼吸という言葉は文字通り、”吸うを呼ぶ”と書きます。
これを初めに考えた人はすごいと思います!
まず吸うことをしなければ、はくこともできないのです…
普段の生活で無意識に呼吸が浅くなることが多いように思えます。
まずしっかりとすうことができないと、外呼吸・内呼吸ができず身体は酸素不足に陥ってしまいます。
これが様々な体調不良につながることは想像しやすいと思います。
さらにすうことが上手くいかないと、胸郭も上手く膨らみません。
そうなると胸郭を構成する、大胸筋、僧帽筋や肋間筋などが緊張しやすくなってしまいます。
これが首、肩、腰などの疲れの原因になることもあります。
横隔膜と腰痛
横隔膜の機能が腰痛の原因になることもあります。
慢性腰痛を持つ人の横隔膜の働きは、そうでない人に比べて…
呼吸時に横隔膜全体の浮き沈みが少ない
腰椎起始部付近の横隔膜だけ余計に浮き沈みする
安静時の横隔膜の位置が高い
という傾向にあるようです。
これを上から順に簡単に説明すると…
横隔膜の収縮と弛緩が上手くできていない
腰椎の動揺が多い分、腰部へストレスがかかりやすい
横隔膜の適度な緊張が保てない
という感じになると考えられます。
次に腹腔を”ピストンとシリンダー”に例えて、腹腔内圧(腹圧)と腰痛について考えてみます…
上の図を身体に当てはめると…
ピストン:横隔膜
シリンダー:腹腔(→腹横筋、内・外腹斜筋、腹直筋、骨盤底筋群、胸腰筋膜)
このようになります。
横隔膜が収縮する(ピストンが下がる)と腹圧は高くなります(図のピンクの矢印)。
腹圧の高まりによって、腹腔は外側に押し出されますので、それに対抗する力が働く必要があります。
しかし、横隔膜が上手く収縮〜弛緩できなかったり、腹腔がふにゃふにゃだったらどうなるでしょうか?
ここまで説明すれば、想像はできると思います…
呼吸は当たり前に行っている分、その質についてはあまり意識していないことが多いのではないでしょうか…