スクワット動作でのニーイン

こんにちは、アスレティックトレーナーの青柳陽祐です。

今回は下肢アライメントから派生して、スクワット動作でのニーインについて考えてみました。

今回参考にしたもの:

Knee Valgus (Valgus Collapse), Glute Medius Strengthening, Band Hip Abduction Exercises, and Ankle Dorsiflexion Drills
http://bretcontreras.com/knee-valgus-valgus-collapse-glute-medius-strengthening-band-hip-abduction-exercises-and-ankle-dorsiflexion-drills/

ASK FIRST PULL FRIDAYS : SHOULD THE KNEES BE PUSHED OUT IN THE OLYMPIC SQUAT?
http://firstpull.net/2013/11/08/ask-first-pull-fridays-should-the-knees-be-pushed-out-in-the-squat/

Hip Anteversion – Assessment and Implications for Strength and Conditioning Programs
http://www.ericcressey.com/hip-anteversion-assessment-strength-and-conditioning-programs

ニーインの原因は?

前回の復習です…

下肢アライメント異常の傾向

まず前回の復習です…

イメージ左:骨盤前傾、股関節内旋(内反股・前捻股)、膝関節内旋・内反と過伸展(反張膝、内股・X脚:Knock Knees)、下腿部内旋、足部の回内(偏平足)

イメージ右:骨盤後傾、股関節外旋(外反股・後捻股)、膝関節外旋・外反(がに股、O脚:Bow Legs)、下腿部外旋、足関節の回外(ハイアーチ)

(右)膝関節外反(イメージ左の二ーイン)はあらゆる場面でのニーイン、内股やX脚の原因の一つでもあり、個人的には右のパターンより多く見受けられるような気がしています。

ある人が元来持つアライメント異常の他に、外反が起こる原因として下記のような原因があることも考えられます…

1.臀筋の弱化と内転筋の柔軟性低下
大・中・小殿筋、股関節深部筋が弱くなり、内転筋が硬くなれば外反が起こりやすくなる。

2.下腿・足部筋の柔軟性・筋力低下
下腿三頭筋、前脛骨筋、腓骨筋や足底筋の機能が低下すると、足関節の可動域(特に背屈)が低下し、回内が起こりやすくなる。回内が過剰になると偏平足状態になり、膝と股関節も内旋位に入りやすくなる。

3.VMO(内側広筋遠位部)
膝関節最終伸展時(約10°)にVMOが働かないと、関節を安定させるScrew Home Mechanism(脛骨が大腿骨に対して外旋する動き)ができにくくなってしまう。

4.ハムストリング
特に半腱・半膜様筋の弱化が膝関節の安定に関わる場合もある。

評価をするには?

一番簡単に行えるのは、上記動画のクレイグテストです。
ここでは詳細の説明をしませんが、この評価で前捻股が疑われる場合には…

股関節の外旋に過度の制限があるので、無理に股関節を外旋位にさせたり、股関節内旋位での外旋筋のストレッチの多用することは避ける!

これが重要です!

また、スクワット動作中では…

足関節の場合はスクワット時にどのくらい膝が曲がると外反が起こるのかチェックする。
クオータースクワットの時に見られなかった膝の外反や足首の回内が、フルスクワットで顕著になると、足関節背屈位の制限などを疑ってみる。

膝の屈曲が深くなると腰が反る、足の重心がかかと側になる(拇指球が浮く)ことも観察する。

臀部に問題があると疑われる場合には、膝に抵抗を加えた状態(股関節外旋と外転を意識させる)と何もない状態で、スクワットのフォームを評価してみる。

など、皆さんの経験に基づいたものさしを使っても良いと思います。

ニーインは悪なのか?

ちょうど先日、この質問を学生選手に聞かれました。

”もちろん全て悪ではない。むしろ多少のニーインは起こっても良い。”

そもそも股関節屈曲位では、ほとんど周囲筋(内・外閉鎖筋、大腿方形筋、腸腰筋以外)が内旋をサポートするように機能します。
特に60°以上の屈曲位では、小・中・大臀筋の一部繊維と梨状筋の機能が股関節内旋に変化します。

ちなみに長内転筋は、股関節屈曲位にあると股関節を伸展、股関節伸展位では股関節を屈曲させるように機能します。
股関節内旋位では膝外反(ニーイン)が起こりやすく、この状態だと内転筋群と大臀筋がより股関節伸展の機能を発揮しやすくなります。

オリンピックリフティングなど高重量を扱う種目では、アップワードフェーズで意識的にニーインを入れるテクニックもあるそうです。

ハンマー投げ、室伏選手のバーベルスクワットを見てみましょう…

自分もスクワットの時に確認してみましたが、高重量を扱うと確かに多少のニーインが起こったほうがアップワードフェーズが楽になるような感じがしました…

今回はここまでとさせていだきます。
ちょうど本日の夜に、股関節に関するセミナーへ参加してきますので、次回以降の記事ではこの内容を聞いて青柳が思ったことをシェアさせていただきます…

You may also like...

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA