こんにちは、アスレティックトレーナーの青柳陽祐です。
今回は関節運動学について解説させていただきます。
これかわかるとこのような質問に一つの答えを出すことができます…
Q1:関節モビライゼーションでどの位置に距腿関節をセットしたらいいのでしょうか?
Q2:距腿関節はどんな状態でどの方向に脱臼しやすいのか?
Q3:どうしてストップ動作の時に拇指球に乗って背屈力を働かせるのか?
*これは前回の記事を参考にして下さい
青柳なりの回答は最後に書いているので、まずは記事をお読み下さい…
骨運動ってなに?
まずは関節面での骨運動、3種類について簡単にまとめてみました。
イメージは青柳の書いた絵で勘弁して下さい…
軸回旋(Spin):ある軸を中心として骨Aが骨Bの上で回旋する
転がり(Roll):骨Aが骨Bの上で転がる
滑り(Slide):骨Aが骨Bの上でを滑走する
今回は距腿関節の運動を例にしてみます
まず距腿関節は蝶番関節で、矢状面上での背屈~底屈の関節運動がメインです。
上の絵では、骨A=脛骨で骨B=距骨だと思って下さい。
実際の関節運動では、3つの運動がそれぞれ単一で起こることは考えにくいです。
もし運動が転がり(真ん中の絵)だけでは、底屈の時に足関節が脱臼してしまいそうで、滑り(右の絵)だけでも、スムーズな関節運動がぎこちない印象です。
転がりと滑りが組み合わさると、なんとなくスムーズに底屈と背屈ができそうな感じがしませんか?
デコボコ、弛緩、遊び?
関節面の凹凸の法則について考えてみましょう…
固定した凹面上で凸面が動くと、凸面は骨運動と反対の方向に滑る
固定した凸面上で凹面が動くと、凹面は骨運動と同じ方向に滑る
これをみていただければ、上の説明も納得が行くはずです…
さらに関節の弛緩と遊びについてです…
関節の遊び (Joint Play):関節の自動可動域を超えたところで、他動的にのみ関節を動かすことができる程度のこと
しまりの状態 (Close-Packed Position):関節周囲の筋が緊張することで、関節包や靭帯が最も緊張した状態
ゆるみの状態 (Loose-Packed Position):関節周囲の筋が緩むことで、関節包や靭帯が緩んだ状態
最大ゆるみの状態 (Least-Packed Position):関節包や靭帯が最も緩んだ状態
距腿関節ではどうなんでしょうか?
しまりの位置:背屈の最大他動可動域(関節の遊びはない)
最大ゆるみの状態:脚に過重してをいない10〜15°の底屈位(関節の遊びは最大)
どうして関節運動学?
ここで青柳の回答になります
A1:関節を外力によって前方にも後方にもグライドさせるには、最大ゆるみの状態にするのがいいです。
A2:最大ゆるみの状態で過度な外力がかかると、凹凸の法則で距骨が脛骨関節面の前方に滑るので、前方への脱臼が多い。
A3:拇指球に体重を乗せることで、距腿関節は背屈の最大他動可動域(しまりの状態)になる。そのため関節に無理な力が働かないでストップができるから。
今回は関節というマイクロの視点で記事を書かせていただきました。
マクロでもマイクロでも身体の評価ができるように、もっと頑張りたいと思います…
出典:Physio-pedia:Arthokinematics
http://www.physio-pedia.com/Arthrokinematics